肛門のしまりがゆるい、悪い

肛門のしまりがゆるい…悪い

肛門のしまりが悪いと、おならが出やすくなったり、下痢便や通常便が漏れたりすることがあります。
肛門のしまりが悪くなるのは、肛門の括約筋の筋力が関係している場合と、それ以外の場合があります。
肛門括約筋の筋力の低下は、出産で肛門の神経に負担がかかったり、慢性便秘や高齢による肛門機能の低下が起こったり、痔の手術によって肛門括約筋が損傷していたりする場合に見られます。

肛門括約筋の筋力の低下以外の場合としては、痔核(いぼ痔)が大きくなって、立っていても肛門の外に出てくる場合や、切れ痔による肛門ポリープが肛門の外に出てくる時などにしまりが悪くなることがあります。
肛門のしまりを悪くさせないためには、便秘の時にいきまないことや、長時間しゃがんだ姿勢をとらないこと、肛門を締める体操をすることなどに気をつける必要があります。

肛門のしまりがゆるい、悪いと便失禁する!?

肛門のしまりが悪くなる1つの原因として、肛門括約筋の損傷や加齢による衰えがあります。
高齢者や要介護者に多く、肛門を締める筋力が弱くなったところに他の原因が加わることで便失禁を生じます。
肛門括約筋の損傷は、出産、痔、大腸がんなどの肛門や直腸の病気、糖尿病などによっても起こるもので、それにより便失禁を生じることもあります。

このような症状はありませんか?

  • トイレに間に合わない
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • ガスと一緒に便が漏れる
  • 気づけば下着が汚れている
    など

便失禁は自分の意思に反して起こるものですので、日常生活に不便を生じます。

便失禁の原因

肛門括約筋の機能が衰えてきたり、下剤の飲み過ぎ、ウォシュレットの使用、筋肉が損傷を受けたりすることによって便失禁が起こります。
肛門括約筋の衰えが生じる大きな原因の1つが加齢で、加齢によって肛門を締める力が衰えてきますが、多くの方はこれに他の原因が組み合わさり便失禁を生じます。
原因のひとつが下剤の飲み過ぎです。便が緩い日には漏れやすくなるため、その日の状態に合わせて下剤を調整することが必要です。
また、ウォシュレットの使用や肛門の洗浄によって直腸内に水が入り、トイレから出た後に漏れ出る場合も多くあります。

肛門括約筋の損傷の原因には出産、痔や大腸がんなどの肛門や直腸の病気、糖尿病などがあります。

便失禁の治療

規則正しい排便習慣

便意を感じた時に我慢せず、速やかに排便することが大切です。
直腸に便がなければ漏れることもないので、外出時や就寝前などには排便する習慣をつけましょう。
また下剤は適切な量に調整しましょう。

食生活の改善

不溶性食物繊維を多く摂り、便を硬くするようにすると効果的です。
大麦や玄米、さつまいも、ごぼう、にんじん、小松菜、大豆、豆腐などを摂取するのがおすすめです。

肛門括約筋を鍛える

骨盤底筋訓練がおすすめです。
骨盤底筋とは、肛門の筋肉などを含む骨盤周辺の筋肉です。
この部分を収縮させて筋力を付けることによって、症状の改善をはかることができます。

【方法】(1セット10~20回、1日3~5セット行います)
  1. 膣(女性の場合)と尿道、肛門を締めます。お尻の穴をすぼめる感じで行います。女性の場合は膣を締めるように行うとやりやすくなります。
  2. 骨盤底の筋肉を頭の方向に引き上げるように、5秒から10秒程度、その姿勢を保ちます。強く締める動作を3回行い、締める時間と同じだけ休みます。
便失禁の薬の服用

薬の服用によって、便失禁の原因である下痢を改善します。
下痢を起こしていると便失禁を起こしやすいので、便を適度な硬さにするのが効果的です。
薬には、ポリカルボフィルカルシウム、ロペラミド塩酸塩、ラモセトロン塩酸塩といったものがあります。

バイオフィードバック療法(仙骨神経刺激療法)

肛門神経症・便失禁の治療として、当院ではバイオフィードバック療法を行っています。
仙骨神経刺激療法とは、2014年に便失禁の治療法として保険適用が可能になった新しい治療法です。
背骨の一番下にある骨(仙骨)にあいた穴から出ている神経を仙骨神経と言いますが、その神経の一部が肛門や膀胱、直腸の方に伸びており、直腸や肛門の運動に関係しています。
仙骨神経に電気刺激を送ることで、肛門括約筋の動きや直腸の知覚の回復を図り、便失禁を抑制します。

ご高齢者や女性に多い!?便失禁

便失禁は肛門括約筋の衰えから生じる場合が多く、高齢者に多く見られますが、女性の出産後や肛門の手術、直腸がんの手術後に肛門括約筋の損傷が起こって生じる場合も多く見られます。

肛門のしまりがゆるい、悪い方は当院へご相談下さい

肛門のしまりが弱まってくると、便もれやガス漏れといった症状を呈し、日常生活を送る上で不便を感じることになります。
肛門のゆるみや違和感などを感じた場合は、放置することなく、福山市の藤本外科・胃腸科・肛門科クリニックまでご相談ください。

排便障害とは(便秘・便もれ・排便困難など)

排便障害とは

便もれや便秘、排便困難に代表される病気を排便障害と言います。
排便障害の種類としては、便の通過に関するもの、便の保持に関するもの、排泄機能に関するものの3種類があり、便秘・便もれ・排便困難が代表的な症状になります。
当院では、排便障害に対して大腸や肛門の状況を詳細に検査して、適切な診断に基づいた治療を行います。
以下に排便障害に関する病気についてご説明します。

排便障害を引き起こす疾患

排便障害は、発症する場所によって小腸・結腸に関するもの、直腸に関するもの、肛門に関するものの3つに分類されます。

 ①小腸・結腸の場合
結腸がん

大腸に進行がんができると、腸管の内腔が狭くなり便秘になる事があります。
この場合便秘の他に、お腹が張った感じ(腹部膨満感)や便が細くなる、便に血が混じるといった症状があらわれる事があります。
がんが進行するまで症状が現れない事も多く、定期的な健診や内視鏡検査が重要です。

慢性便秘

慢性便秘は、規則正しい排便が行われない病気で、4~5日経っても排便のない場合や、毎日排便があっても少量で腹痛やお腹の張り、残便感を感じる状態が続くものを言います。
便通には個人差がありますので、苦痛がなければ排便異常とはされません。
食物繊維の摂取が少ない場合や運動不足、精神的ストレスといった生活習慣が影響して腸管の緊張や運動の低下に至り、正常な排便ができない要因ともなります。

過敏性腸症候群(IBS)

ストレスによって排便障害に至る病気です。
ストレスが神経を介して腸に影響を与えることで、腸管運動
が抑制されたり亢進したりする結果、便通異常、腹痛、腹部の不快感、便の形の異常などを発生させます。

②直腸の場合
直腸がん

肛門に近い直腸に進行がんができた場合、がんが肛門を塞いで便秘となることがあります。この場合、便に血が混じったりお腹が張った症状や、便が残った感じがつづくこともあります。
がんが大きくなり腸管の内腔が狭くなると、便秘や血便だけではなく、便が細くなる・頻回の下痢といった症状になることもあるので、注意が必要です。

直腸脱

直腸は通常骨盤内の線維によって固定されていますが、この固定する筋肉(骨盤底筋群)が弱ることで直腸が肛門の外に出てくるようになります。
子宮や膀胱も一緒に脱出する場合もあり、骨盤臓器脱と呼びます。
高齢の女性に多く見られる症状です。

直腸瘤(レクトシール)

直腸と膣の間の薄い壁が出産や加齢に伴ってさらに薄くなり、直腸が膣のほうへ袋状に突き出てしまう病気です。
便秘の方が排便のためにいきむと、便が袋状のものにたまってしまい、排便がしにくくなります。

糞便梗塞(糞づまり)

慢性便秘の高齢者に多い状態です。
直腸内に多量の便がつまってしまい、便が出ない・肛門が痛いといった症状が出ます。詰まった便の一部が少量ずつ出て下痢のような状態になる事もあります。一旦便が出ると肛門痛などの症状は一気に改善します。便秘の治療を適切にコントロールする事が重要です。

肛門疾患の場合
切れ痔(裂肛)

肛門の上皮といわれる部分が裂けて傷つくため、強い痛みと出血があります。
切れ痔を繰り返して慢性化すると、肛門が硬くなって肛門が狭くなります(肛門狭窄)。
肛門狭窄までしてしまうと、肛門を広げる手術が必要となります。

その他
外傷

排便障害の原因の1つに外傷があります。
仕事中や家事中、あるいはスポーツを行っている時に、何らかのはずみで肛門括約筋が外傷によって損傷したり、神経が傷ついたりすることで排便障害が発生することがあります。交通事故によるケースもあります。

出産

女性に生じる排便障害の原因の1つに出産があります。出産後に肛門括約筋が切れたり、薄くなったりすることで、便が漏れる場合があります。
また母体の骨盤と胎児の頭との間で陰部神経が圧迫されることにより、神経に鈍りが生じることで便が漏れやすくなることがあります。
こちらは感覚障害を伴いやすく、肛門のしまりが悪くなるだけでなく、しびれが発生することもあります。

括約不全

肛門は括約筋の働きによって普段は便が漏れないように締まっています。
肛門括約筋が弱まるとこの働きが正常でなくなり、便もれやガス漏れが発生します。
肛門括約筋が弱まって正常な働きをしないことを「括約不全」と言います。

高齢者の括約不全

男女とも高齢によって肛門括約筋の力が低下してきます。
若い方の場合は括約筋の能力が低下しても症状が現れることは少ないのですが、高齢者の方の場合は症状が現れてきます。

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