ピロリ菌検査・除菌

“らせん状の細菌”ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)

“らせん状の細菌”ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)ピロリ菌は胃の中に存在する菌であり、正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」です。
ピロリ菌に長く感染すると胃の中で炎症が起きてしまいます。
また、萎縮性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんは、ピロリ菌と関係性があると言われており、ピロリ菌に感染すると胃がんになるリスクは約15倍とされています。
ピロリ菌の有無は、呼気検査、内視鏡生検、血液検査などで判明します。
ピロリ菌を除菌するお薬を1週間飲み続けてもらうと、大抵の場合、ピロリ菌の除菌ができます。

ピロリ菌の主な症状・セルフチェック

ピロリ菌の感染を確認するために、胃の不快感や過去にかかった病気からセルフチェックをしてみましょう。

症状

感染してすぐは、体調の変化を感じないでしょうが、感染に気づかず放置すると、下記のような症状が現れることがあります。

  • 吐き気
  • 胸やけ、胃がむかむかする
  • 胃痛 など

セルフチェック

ピロリ菌の感染を確認するために、胃の不快感や過去にかかった病気からセルフチェックをしてみましょう。

  • 0~5個該当→ピロリ菌がいる可能性は低いでしょう
  • 6~10個該当→ピロリ菌がいるかもしれないので、ピロリ菌の検査が必要です
  • 11~15個該当→ピロリ菌がいる可能性は高いので、早めに検査を受けましょう
  • 胃の周辺がたまに痛い
  • 胃が重い、張る時がある
  • ストレスを感じやすい
  • 昔より早くお腹いっぱいになる
  • 胃薬の効果が長続きしない
  • 食事をとる時間にばらつきがある
  • 空腹だと体調が悪くなる
  • 胃の萎縮があると言われた
  • 胃もたれが起きやすい
  • 家族がピロリ菌に感染したことがある
  • ピロリ菌の治療を受けた経験がない
  • 胃がんや慢性胃炎になったことがある
  • 家族に胃がんや慢性胃炎になった人がいる
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
  • 家族に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になった人がいる
  • 子供の頃に井戸水を飲んでいた人など

ピロリ菌の感染経路や原因

ピロリ菌は井戸水などに生息するため、あまり水道整備が進んでいなかった時代には、子供たちの多くがピロリ菌に感染していた可能性があります。
ピロリ菌は飲料水、食べ物から感染すると言われていましたが、衛生環境が整った現在は自然界にはほとんど存在していないため、現在の主な感染経路は、親から子へ移す場合がほとんどです。
成人になるとピロリ菌の感染はないとされ、大抵は5歳以下で感染すると考えられています。

ピロリ菌はキスでうつる!?

ピロリ菌はキスでうつる!?ピロリ菌は主に幼少期(5歳以下)にしか感染が成立しないため、ピロリ菌を持っている両親が食事中に同じ食器(スプーンやコップ)を使用したり、キスを含めた離乳食の口移しなどで移してしまう可能性があります。
母子感染が多く(70-80%)、次いで父子感染(5-10%)、その他(10-20%)と推定されています

大人の免疫力は子供より高くピロリ菌は除去されるため、大人から大人へのキスで感染する可能性はほとんどありません。

ピロリ菌によって発症する可能性のある病気

ピロリ菌は、様々な病気の原因となり得ることがわかっています。
ピロリ菌が関連する病気として、胃潰瘍、慢性胃炎、十二指腸潰瘍、胃がん、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、胃MALTリンパ腫、胃ポリープなどが挙げられます。

  • 慢性胃炎
  • 胃潰瘍
  • 二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • 胃ポリープ
  • 胃MALTリンパ腫
  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP) など

胃がんとピロリ菌の関係

ピロリ菌に感染した状態では、胃がん、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のリスクが高くなる事が知られています。
胃がんのリスクは、ピロリ菌に感染している状態だと非感染者に比べて、15倍以上高いとされています。
ピロリ菌に感染後すぐ胃がんを発症するのではなく、まずは慢性胃炎を発症し、感染が長く続いてしまうと胃がんを発症する恐れが出てきます。
若いうちからピロリ菌検査を受け、感染が判明したら治療を早めに行うことで、胃がんのリスクを抑える事ができます。

ピロリ菌検査

検査方法

いずれの方法も一長一短ありますが、実際には内視鏡で胃の粘膜を見れば多くはピロリ菌の存在がわかります。
高度に進行した萎縮性胃炎では、採血などのピロリ菌抗体検査で陰性と判定されてしまう事もあるため、やはり内視鏡検査で現在感染しているかどうか見る事が最も確実な検査方法となってきます。

胃カメラを使用する場合
迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌の存在を検査するため、「ウレアーゼ」と呼ばれるピロリ菌に関連する酵素を胃カメラで採取します。
短時間で検査結果が知りたい方には最適な方法ですが、ピロリ菌の除菌を確認するには不向きな検査です。

鏡検法

胃から採取した組織をホルマリンに浸けて、ピロリ菌の感染を顕微鏡で細かく検査します。
検査結果がでるまで1週間ほどかかります。

胃カメラを使用しない場合
尿素呼気試験

「ウレアーゼ」と呼ばれるピロリ菌が出す酵素の働きを利用した検査です。
「ウレアーゼ」は尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解するため、専用の尿素製剤を飲んでもらってその前後で呼気を調べます。
正確性の高い結果が得られ、短い時間で済むので患者様のストレスも少ないでしょう。
当院ではピロリ除菌後の効果判定に用いています。
前日夜からの絶食が必要です。

※血中抗ピロリ菌抗体、尿中抗ピロリ菌抗体、便中抗ピロリ菌抗体測定は、当院では行っておりません。

検査費用の目安(3割負担の場合)

ピロリ菌検査
(胃カメラ検査代を含む)
約10,000~11,000円程度

どうして検査したほうがいい?検査する頻度は?

ピロリ菌に感染した状態では、胃がん、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍を発症するリスクが15倍ほど高くなります。
ピロリ菌がいる場合には、除菌する事でそれらの病気にかかるリスクを下げる事ができます。
ピロリを除菌すると胃がん発生のリスクは大きく低下しますが、除菌をした人でも、ピロリ菌に感染していなかった人(未感染)と比べると胃がんの発生率は高いことが報告されています。
このため胃カメラで長期に経過を見ていく必要があり、当院では1年に1回の検査をお勧めしています。

ピロリ菌除菌の方法と流れ

ピロリ菌除菌は「一次除菌」、除菌が完了しなければ次に「二次除菌」を行います。
それぞれ薬をいくつか飲んでもらいますが、一次除菌の成功する割合は80%、二次除菌の治療を受けた場合の成功する割合は90%です。
このように、ピロリ菌の除菌治療は成功する可能性が高い治療なのです。

一次除菌

ピロリ菌を抗菌するお薬を2種類と、胃酸を抑えるお薬の1種類を処方します。
1日2回を1週間続けて服用してもらいます。
除菌の結果は、3ヶ月後に検査を行い判定します。

二次除菌

ピロリ菌を除菌する2種類のお薬を1つ違う種類に変えて服用してもらい、3ヶ月後に除菌の結果を検査します。
二次除菌でも成功しなかった方は、自費になりますが三次除菌を検討します。
なお、一次除菌と二次除菌は保険が適用されます。

ピロリ菌除菌・除菌後検査の料金

保険診療の料金の目安

ピロリ菌検査・除菌が保険診療になるのは、早期の胃がん治療の後や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎を発症した方です。

1割負担 2割負担 3割負担
ピロリ除菌治療・除菌後検査 約1,500~2,000円程度 約3,000~4,000円程度 5,000~6,000円程度

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